社会政策
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デンマークにおける予防的家庭訪問に関する考察 : 福祉情報化の視点から
石黒 暢
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2014 年 5 巻 3 号 p. 137-148

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抄録

市民にアウトリーチする施策の1つであるデンマークの予防的家庭訪問制度を情報という視点から捉え,特質を明らかにするのが本稿の目的である。本制度の全国的な実施状況や事例検討から明らかになったのは,第一に,本制度が公的責任による広範囲なアウトリーチという点である。基礎自治体に実施義務が課せられた制度で原則的にデンマークの75歳以上の国民すべてに提供され,高齢者の自立生活継続を支援している。第二に,本制度では個人情報の保護をしながらも一定ルールのもとで共通処遇の促進機能を発揮して惰報共有し,かつ利用者個人との情報共有を実施している点である。第三に,多くの自治体が予防的家庭訪問にかかわる情報を体系的に収集し活用している点である。第四に,ICTを活用できない高齢者や社会的ネットワークが脆弱な高齢者に対して自治体がアウトリーチして必要な情報を提供し,情報アクセシビリティを保障している点である。

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© 2014 社会政策学会
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