社会政策
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フランス第二帝政期における共済組合 : 防貧とモラル化のためのプレヴォワヤンス
小西 洋平
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2015 年 6 巻 3 号 p. 110-121

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抄録

本稿の目的は第二帝政期における共済組合の特徴を明らかにすることである。共済組合はル・シャプリエ法の成立以降,政府から認められた唯一の扶助組織であった。第二帝政期になるとこの共済組合に中央集権化,名望会員制の導入,キリスト教の採用という3つの要素が付与され,帝政共済として大きく発展していく。共済組合の管理運営に携わった社会カトリック主義者たちは宗教的規範と同時に合理的な生活態度を求めるプレヴォワヤンスという規範を労働者たちに根付かせていった。国家とキリスト教による管理を甘受しながら発展した共済組合であったが,女性に対しては改革者として現れた。第二帝政期までの共済組合が男性に独占されていたのに対して,帝政共済は女性がより参加しやすいという特徴を持っていた。本稿はこのような共済の多義性に注目しながら,その特徴を明らかにすることを試みる。

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