社会政策
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イギリス炭鉱争議(1984-85年)の争点と労使関係上の意義
木村 牧郎
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2015 年 6 巻 3 号 p. 122-133

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抄録

本稿では,イギリス全国石炭庁(NCB)による合理化案を発端として,全国炭鉱労働者組合(NUM)が引き起こした炭鉱争議(1984-85年)における労使関係上の争点を探り,その意義を明らかにすることを目的とした。同争議を新自由主義的な諸政策を掲げるサッチャー政権とそれに抵抗するNUMとの対立構図として捉えてきたこれまでの研究に対して,本稿では1960年代以降のイギリス労働運動の原動力であった「労組の拒否権」をめぐる労使対立が労使関係上の重要な争点と位置付けた。争議中の組合員の行動や意識を分析すると,合理化を規制するための拒否権に固執したNUM指導層に対して,ストに反対した就労派とともに,消極的ながらストに参加した中間派の中にも指導層との意識乖離が生じ,それがスト終盤におけるNUM敗北の決定的な要因となったことが明らかとなった。同争議の意義として,NUM敗北は拒否権を基盤とした運動路線の転換と職場における経営権の強化をもたらした。

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© 2015 社会政策学会
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