抄録
本稿では,「居場所」を提供しようとする支援への利用者の参加の経験を,参入-定着-退出の3段階に分節化し,就労・就学に代表される,外部社会への参加までの過程を連続的・動態的に明らかにすることを試みた。分析の結果,「居場所」支援の利用者たちは数々の社会的実践から「周縁化」されているが故に,「居場所」への参加にも困難を伴っており,支援者たちは利用者の責任の度合いを下げる形で利用者を「居場所」の「周辺」に位置づけようとしていること,こうした「居場所」利用者としてのアイデンティティの構築を経て,利用者は一般社会で広く通用する汎用的な資源を「居場所」に見出していること,外部社会への参加後は「居場所」利用者としてのアイデンティティは否定されること,などが明らかになった。こうした「居場所」への参加過程を「居場所」と外部社会の「二重の成員性」を獲得する過程として位置づけた。