ITシステム開発保守においては,ユーザーニーズの分析,システムインパクトの調査,システム修正方法の検討,ソフトウェアの修正,テスト戦略の検討等,多くの専門知識が求められる.また,情報システムの品質確保のためには,各種成果物のレビューのような専門分野を跨ぐ共通的な基本動作も非常に重要である.かつて,品質問題を抱えたある部門が,レビューの質を向上させることにより,品質と生産性を向上することに成功した.その後,システムの更新に際して詳細なルールを整備し,レビューのような基本動作を浸透させる取組みは消滅した.しかし,機能追加開発が本格化すると品質問題が生じ,基本動作の再徹底による挽回を図った事例から,レビュー等の基本動作が大規模なプロジェクトにおいて定着しない原因と対策について論じる.