抄録
本研究では、高温強磁性酸化物 Sr3OsO6 の電子状態を明らかにすることを目的として、Os L2,3 吸収端におけるX線吸収分光(XAS)及びX線磁気円二色性(XMCD)測定を行った。実験結果から、Os の軌道磁気モーメントがスピン磁気モーメントと比較して同オーダーの大きさを持つことが明らかになった。しかし、XMCD 総和則による推定では、Os の全磁気モーメントは SQUID 磁化測定の値よりもかなり小さかった。今後の課題としては、Sr や O の吸収端での XMCD 測定による磁気モーメントの観測や、サンプルの経時変化を低減させるための対策が挙げられる。