地域学研究
Online ISSN : 1880-6465
Print ISSN : 0287-6256
ISSN-L : 0287-6256
人口の抑制と分散
人口適正配分主導型経済計画の提唱
佐々木 宏
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 6 巻 p. 15-25

詳細
抄録

従来の経済計画では,工場誘致とか特産地形成という様な方法で,地域の生産を高めれば,後進地域にも自ら定住者が増え,全国的な経済の発展と同時に合理的人口配置が同時に達成されるという楽観的な見解が保持され,専ら生産増大のための投資計画が中心となり,人口の適正配分は経済計画が実行されれば,自然に派生されるものとして放任される傾向があった。
しかし現実には,経済が成長するとともに,過密と過疎が顕在化し,国民生活の不安が高まってきた。
これからの経済計画においては,人口の適正配分ということは,はじめから主要目標として優先的に取り扱われるべきである。
適正な人口配分の達成された姿は,国全体の人口の性別年令別構成と相似のものが全国の各単位地域に実現するこであり,この単位地域は現段階においては,中心都市と周辺の若干の町村をもって構成される広域生活圏をもって考えらるべきであろう。
各地城の現在の人口構成とその成長ペースに沿っての人口予測はかなり正確になし得られるので,この予測と理想人口構成とのギャップを埋める経済計画が要請される。これからの経済計画は先づ各地域の人口計画を調整することからはじめ,それによって自ら各地城のより多くの人口シェアを取りこもうとする経済政策や投資計画の適正な調整を得る様に図るべきであろう。

著者関連情報
© 日本地域学会
前の記事 次の記事
feedback
Top