2022 年 10 巻 3 号 p. 31-47
新型コロナウィルスは,様々な分野において生活様式の変容をもたらしたが,学術学会の運営も例外ではない。学会においては通常,定期的に役員などを選出するために選挙を実施するが,ここにも変容が生じうる。2020年度に社会情報学会は,コロナ禍に伴い,評議員選挙ならびに役員候補者選挙をオンラインで実施されることになった。
本稿では,投票行動の特徴および,あわせて実施されたオンライン選挙の妥当性について評価をするためのアンケートの概要について報告する。投票行動に着目すると,郵送投票に比べて投票人数および投票率は同程度以上であることが明らかとなった。一方,評議員選挙・理事選挙のいずれの選挙においても,統計的には順序効果(初頭効果)の影響を否定できない結果となった。
また,アンケート結果に着目すると,望ましい選挙期間は2週間程度であること,オンライン選挙の本格導入への障壁が低いことを示唆する結果が得られた。さらに,オンライン選挙の満足度については,投票画面の設計が大きく影響を与える要因であることが推測されることとなった。
選挙権者のオンライン選挙に対する懸念点として大きく,1.画面の見やすさ,2.投票画面の掲載順が投票行動に与える影響,3.不正選挙の不安の3点が上げられた。