社会情報学
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原著論文
世界178カ国・地域の携帯電話普及に関する構造変化点分析
―グローバルな普及加速期の特定―
山崎 大輔篠﨑 彰彦
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2022 年 11 巻 2 号 p. 15-28

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抄録

本稿の目的は,携帯電話のグローバルな普及がいつから加速したかを構造変化点分析の手法で明らかにすることである。携帯電話に象徴される情報通信技術(ICT)のグローバルな普及とそれに伴う経済効果については,既に多くの先行研究で行われているが,各国別にいつから普及が加速し始めたのか,その厳密な時期は必ずしも明らかではない。そこで本稿では,1990年代以降急速に普及した携帯電話に焦点を当て,そのグローバルな普及が何年頃から加速したかを厳密に特定すべく,世界178カ国・地域を対象に構造変化点分析を行った。具体的には,先進国,ASEAN,移行経済圏,BRICS,アフリカ諸国,その他の6グループに分類し,RogersのSカーブに基づくデータ観察を行った後,構造変化点分析の手法により,携帯電話の普及加速時点を特定化した。その結果,1997年前後に加速した先進各国に続き,BRICS,移行経済圏,ASEAN,アフリカ諸国が2002年から2004年にかけて構造変化点を迎えたことが明らかとなった。これはRogersのSカーブに基づくearlyadoptersからearly majorityへと移り変わる時期の観察ともほぼ一致している。この分析結果は,ICTの普及に伴うグローバルな経済効果について,時期区分を明確にした上で,詳細に分析する際の一助になると考えられる。

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