社会情報学
Online ISSN : 2432-2148
Print ISSN : 2187-2775
ISSN-L : 2432-2148
消費者行動に対するポイントの影響
寺地 一浩
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 2 巻 2 号 p. 1-16

詳細
抄録

ポイントは,消費者を誘引し,様々な企業で採用され消費社会に浸透している。しかしポイントを提供する企業では,ポイントで収集した顧客情報を,効果的にマーケティングに活用できず,また競合他社のポイントプログラム導入もあり,競合先との差別化は困難な状況である。一方で消費者のポイントに対する行動は,金銭的利得を追求するだけではなく,貯めることに執着し追求するなどの購買行動をとり,必ずしも経済合理性に基づく行動ではない。ポイントを貯めることにより,企業に対するロイヤリティを形成し,ポイントを貯める喜びを感じるなどの心理的効果は,企業と消費者の双方に共有される価値であり,積極的に評価されるべきである。これまでポイントプログラムの有効性をはじめとする戦略性,発展性等の先行研究は,消費者の行動誘因として主に経済合理性が仮定され研究されてきた。ポイントプログラムの課題を克服し効率化をはかるために,ポイントそのものがもつ心理的効果を検証することが求められる。これら検証は,ポイントプログラムに関する有効性の研究に新たな効果要因を解明するものである。本研究では,心理的効果を検証するため,消費者のポイントに対する認識とポイントの購買行動への影響を実証分析した。消費者のポイントを貯めることに執着し追求する傾向に対して,損失回避性と利用可能性ヒューリスティックが影響を与えていることを明らかにした。

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 社会情報学会
次の記事
feedback
Top