2021 年 9 巻 3 号 p. 35-45
本研究では,日本の大学等の研究機関がインターネット上で公開している広報に関わる文書を用いて学術広報の現況を調査し,これに基づいて学術広報コミュニケーションに,コミュニケーションの一般モデルであるシャノン=ウィーバー・モデルを適用して,学術広報共通のフレームワークを作成することを試みた。この調査では,収集した広報の「基本方針等」41文書から,その内容を6項目・計50の下位項目にまとめた。次に調査結果からわかった学術広報の諸活動に,シャノンが示した技術的な問題(A)とウィーバーが追加した意味と効果の問題(B,C)という3つのレベルから成るシャノン=ウィーバー・モデル(1949年)を適用することにより,コミュニケーション・フローのどこで,どの問題(A,B,C)に関わる指標が計測可能であるかを明らかにするフレームワークを作成した。