抄録
2023 年 3 月 19 日から 2024 年 8 月 7 日にかけて、太陽系外惑星 TrES-3 b のトランジット観測を可視光および 近赤外線の複数波長で同時に実施した。観測には、西はりま天文台の 2m なゆた望遠鏡に搭載された西は りま赤外線カメラ( NIC )および 60cm 望遠鏡を使用した。観測された主星と惑星の半径比は、 V バンドで 0.152 から 0.161 、 J バンドで 0.151 から 0.162 、 H バンドで 0.155 から 0.159 、 K s バンドで 0.134 から 0.157 までの 範囲であった。観測期間中、トランジットに顕著な波長依存性の変化は見られず、全波長で均一の半径比 が示唆された。 TrES-3 b の大気は膨張しておらず、晴れた大気または雲の存在によるモデルで説明できる。 また TrES-3 b の大気に顕著なレイリー散乱が見られなかったことが確認され、 Mackebrandt et al. (2017) の 観測結果を支持するものとなった。