2021 年 49 巻 2 号 p. 55-59
症例は60歳代の男性。元来アルコール多飲歴がある直腸癌術後の患者。外来経過観察中に黒色嘔吐,腹痛を主訴に救急外来を受診した。上部消化管内視鏡検査を施行したところ黒色食道を認め急性壊死性食道炎と診断した。治療は中心静脈栄養のもと絶食管理とし抗菌薬の投与およびProton Pomp Inhibitor (PPI) の投与を行った。第14病日から食事を開始し第18病日に軽快退院となった。しかしながら,6か月後に再度急性壊死性食道炎にて入院。初回治療と同様,中心静脈栄養,絶食管理,抗菌薬投与,PPI投与にて改善した。2回目退院後からは禁酒を徹底しており再発なく経過している。