口腔・咽頭科
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原 著
喉頭浮腫を来たした尋常性天疱瘡の1例
平井 悠妹尾 一範赤木 成子
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2011 年 24 巻 2 号 p. 191-197

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抄録

尋常性天疱瘡は, 皮膚や粘膜に水疱やびらんを形成する稀な自己免疫性疾患である. 初発症状としては口腔粘膜病変が多く, 耳鼻咽喉科での早期診断が重要となる.
今回我々は, 尋常性天疱瘡の初発症状としては珍しい喉頭浮腫にて初診となり, その加療後に口腔内びらんや鼻出血を来たした症例を経験した. 初診から確定診断に至るまで約2ヶ月の間, 皮膚病変の出現は認めなかった. ステロイド等の投与により症状は寛解し, 抗デスモグレイン抗体価もコントロール良好である. 粘膜病変を診察するにあたっては早期から全身疾患の可能性についても念頭に置き, 複数部位に及ぶ病変を一連に考えて対応することが, 早期診断・治療開始のために重要である.

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© 2011 日本口腔・咽頭科学会
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