口腔・咽頭科
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原 著
下咽頭癌に対する機能温存を目指した化学放射線療法
徳丸 裕藤井 正人
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2012 年 25 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

近年の臓器温存の要望の高まりとともに, 下咽頭癌に対しても機能温存をめざした化学放射線療法が積極的に施行されるようになっている. 今回, 我々は当科にて化学放射線療法を施行した下咽頭癌症例について検討した. 対象は, 2003年から2009年までに化学放射線療法を施行した遠隔転移のない下咽頭癌症例63例である. 病期の内訳はStage IV: 53例 (84.2%), III: 4例 (6.3%), II: 6例 (9.5%) であった. 化学放射線療法の治療効果はCR 42例, PR 19例, NC 2例でCR率, 奏功率はそれぞれ66.7%, 96.8%であった. また病期別の3年および5年疾患特異的生存率はStage II+III: 85.7%, 68.6%, Stage IVA: 58.4%, 53.1%, Stage IVB: 41.7%, 41.7%であった. 下咽頭癌に対する化学放射線療法は, 機能温存を目指した治療法として有用であり, 手術とともに標準的治療の一つになりうると考えられた.

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© 2012 日本口腔・咽頭科学会
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