口腔・咽頭科
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原 著
睡眠時呼吸障害病態の手術効果からの検討
久松 建一工藤 逸大牧山 清高根 智之平井 良治
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2012 年 25 巻 2 号 p. 139-150

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抄録

104名の21~73歳 (男性83名, 女性21名) の閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群 (OSAHS), 上気道抵抗症候群 (UARS) 疑い例, いびき, 日中の過眠を伴う睡眠時呼吸障害 (SDB) に対して鼻中隔矯正術, 粘膜下下鼻甲介骨切除術, 後鼻神経切断術, 中鼻甲介部分切除術を含む鼻腔整形術 (ER), コブレーションを用いたuvulopalatopharyngoplasty (cobUPPP) を単独, または3ヶ月後に段階的に追加施行した. 術後3ヶ月で簡易または終夜睡眠ポリグラフ検査 (PSG) 所見, Epworth Sleepiness Scale (ESS, 日中の過眠傾向の尺度), いびき, アレルギー性鼻炎症状の改善について検討した. SDBの責任部位をA鼻腔・上咽頭レベル, B. 口腔・中咽頭レベル, C. 舌・舌根・下咽頭レベルの3つに分けた.
われわれはSDB病態に関与する因子は, (1)睡眠中の咽頭陰圧, (2)肥満に伴う睡眠中の吸気量増大の可能性, (3)狭い上気道形態, (4)上気道の脆弱性, (5)肥満などを推定している. ERは因子(1)の睡眠中の咽頭陰圧を軽減する可能性がある. cobUPPPは直接的に因子(3), (4)を改善する可能性がある. これらの2つの手術の段階的併用は更に高い有効率を示したが, 無効例が存在し, C. 舌・舌根・下咽頭レベルの関与が推定された.
これらの事実はSDBの病態に上気道の複数の責任部位と因子が関与していることを示唆している.

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© 2012 日本口腔・咽頭科学会
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