口腔・咽頭科
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原 著
中咽頭癌症例におけるHPV感染と転移リンパ節の検討
水町 貴諭加納 里志本間 明宏折舘 伸彦福田 諭
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2013 年 26 巻 2 号 p. 161-166

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抄録

HPV陽性中咽頭癌は陰性例に比べ予後が良好であるが,陽性例であっても予後不良例も存在する.Spectorらは“matted nodes”というリンパ節の転移様式のみられる症例は遠隔転移しやすく予後不良であると報告した.中咽頭扁平上皮癌症例61例に対してretrospectiveに“matted nodes”および臨床的検討を行った.このうち“matted nodes”を認めたのは9例であった.全症例における“matted nodes”の有無別の生存率には有意差を認めなかったが“matted nodes”あり群の方が有意に遠隔転移しやすい傾向にあった.HPV陽性例のみでの検討では“matted nodes”あり群の方がなし群に比べ有意に予後が不良であった.HPV陽性であっても“matted nodes”のある症例は遠隔転移のリスクが高く予後不良であるので導入化学療法を行った方が望ましいと考えられた.

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© 2013 日本口腔・咽頭科学会
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