2015 年 28 巻 2 号 p. 143-147
画像検査の発達に伴い, 耳鼻咽喉科医も出生前に気道評価の判断を迫られる症例が増えつつある. 出生前の超音波検査・MRI により, 頬部から頭蓋内に伸展した成熟奇形腫を認め, 出生後の上気道閉塞が疑われた症例を経験した. 症例の母は39歳 (2経妊1経産), 妊娠中の胎児超音波検査で胎児の頬部嚢胞を指摘され, 画像精査にて頬部から頭蓋内に伸展する腫瘍の存在を確認した. MRI ではリンパ管腫が疑われ, 複数科で検討のうえで気道は確保されていると予測した. 妊娠第38週で帝王切開にて児娩出としたが, 出生前の画像診断時と比較して腫瘍が急増大しており, 鼻腔内の腫瘍充満により上気道閉塞をきたし, 気道確保を要した.