2016 年 29 巻 2 号 p. 231-236
壊死性軟部組織感染症は, 皮膚・皮下組織・筋膜や筋肉などに壊死性病変が急速に拡大する重篤な感染症で, 救命には切開排膿ドレナージと抗菌薬の投与を必要とする. 今回提示する症例は57歳女性, 未治療の糖尿病を合併した頸部壊死性軟部組織感染症症例で, 壊死組織のデブリードマンを施行した結果, 右頸部に広範な皮膚欠損が生じたため, 第48病日に局所陰圧閉鎖療法を導入し, 第70病日に皮膚移植術を施行して創を閉鎖した. 局所陰圧閉鎖療法は, 患部環境を密閉し負圧をかけることによって創傷治癒を促進させる医療技術で, 本療法の導入により著明な創縮小作用が認められた. 本症例の概要と経過につき報告する.