2017 年 30 巻 1 号 p. 17-24
閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA) 治療においてエビデンスに基づいた治療戦略の中心となるのは CPAP 治療である. しかしながら, 欧米を中心に CPAP の使用率は十分とはいえず, 多くの代替え治療が必要とされる現状がある. 一方, OSA において解剖学的病態の中心となるのは咽頭であり, 耳鼻咽喉科医は古くから咽頭の手術治療を行ってきた. 咽頭手術は Ikematsu のいびきの咽頭腔拡張手術を FUJITA が OSA に応用した UPPP が 1981 年に報告された. 現在では咽頭気道を外側方向に拡大する Lateral Pharyngoplasty を代表とする方法や, 低侵襲を目指す Suture technique など, 咽頭手術はいまだ現在進行形で進化している. 手術治療の成功には, 呼吸調節や睡眠の機能が OSA の病態に関与すること, さらに解剖学的要因には軟組織要因と顎顔面形態要因が関わることを考慮し, 手術適応を決定し, 適切な手術法を選択する必要がある. また, OSA は全身麻酔のリスクであり上気道手術はさらに高まることから, Sleep surgery に特異的な周術期管理のリスクを考慮することが重要である. 最後に Sleep surgery のエビデンスは未だ十分ではない. しかしながら, 単独の効果だけではなく総合的な治療戦略の中での意義について検討していく必要がある.