2017 年 30 巻 2 号 p. 155-157
粘膜免疫機構は人体最大の免疫臓器であること, 粘膜免疫はその特性から防御と寛容の特殊な2面性を持つことが極めて重要である. 例えば, ワクチン接種の中心は注射型であるが抗体誘導は全身性に IgG 抗体が誘導され, 感染の主な場所である粘膜に誘導されるわけではない. 方や経粘膜的にワクチン接種させると全身性にIgG抗体が誘導されるだけでなく, 投与 粘膜面 (感染の最前線) に IgA 抗体を誘導させることもできる.
非自己であるが, 無害である食事摂取タンパク質に免疫応答を起こすことは無い. 巧みな寛容誘導機構が存在し, その寛容機構の治療応用が, 粘膜免疫機構を利用した経口免疫寛容である.