口腔・咽頭科
Online ISSN : 1884-4316
Print ISSN : 0917-5105
ISSN-L : 0917-5105
総 説
中咽頭癌治療の現状とこれから
松浦 一登今井 隆之浅田 行紀森田 真吉西條 聡
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 30 巻 2 号 p. 159-164

詳細
抄録

 中咽頭癌は本邦, 欧米を問わず増加傾向にあり, とりわけ HPV 関連中咽頭癌の増加が著しい. 本法では約 5割, 欧米では約 7割の中咽頭癌症例に HPV 感染が認められる. 発症のリスク因子として喫煙と飲酒が指摘されてきたが, 現在の中咽頭癌治療においては HPV 感染が重大な関心事である. とりわけ HPV 陽性中咽頭癌の予後が良好であることが明らかとなり, 喫煙歴と組み合わせることで予後を予測できるようになった. 今では, 中咽頭がんは 3種類 (HPV(+)SCC, HPV(-)SCC, 非SCC) に分けられると考えられ, 治療強度を見極めるために様々な臨床試験が進行中である. これらの結果を踏まえて, リスク分類別に QOLを考え, 過不足ない治療を行うことが重要である.

著者関連情報
© 2017 日本口腔・咽頭科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top