2017 年 30 巻 2 号 p. 197-201
劇症型溶血性連鎖球菌感染症 (STSS) は極めて致死率の高い感染症である. 本邦で15例目となる頭頸部 STSS を報告する. 症例は46歳, 男性, 右顎下部の皮疹を掻把翌日, 頸部腫脹が出現, 2日目に当科救急搬送となった. 搬送時ショックバイタルで, 著明な炎症反応上昇と急性腎不全を認めた. CT 所見と合わせ, 頸部蜂窩織炎・縦隔炎, 敗血症性ショックと診断した. 経頸部的縦隔開放術と気管切開術を施行し, PIPC/TAZ を投与した. 術野より提出した細菌培養検査にてA群 β 溶血性連鎖球菌を検出, 軟部組織壊死および播種性血管内凝固症候群も認め, STSS と診断した. 速やかな抗菌薬投与及び外科的処置により, 救命することができた.