口腔・咽頭科
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原 著
診断に苦慮した軟口蓋穿孔の 1 例
中田 貴大山田 啓之三谷 壮平羽藤 直人
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2017 年 30 巻 2 号 p. 239-244

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抄録

 軟口蓋穿孔の原因は多岐に渡り, 診断に苦慮することがある. 今回われわれは副腎皮質ステロイドの投与で診断に苦慮した軟口蓋穿孔の1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例は35歳女性. 左耳痛と難聴を主訴に近医を受診, 急性中耳炎として加療を受けるも改善しなかった. 軟口蓋穿孔も出現したため副腎皮質ステロイドの漸減投与が行われ精査加療目的に当科紹介受診となった. 当科にて細菌検査や病理組織検査を繰り返すも確定診断には至らず, 軟口蓋穿孔の改善も認めた. しかし当科受診 3ヵ月後に行った気管支鏡検査にて肺結核, 上咽頭結核, 結核性中耳炎と診断された. 抗結核薬を投与され症状は軽快し, 1年半経過した現在, 症状の再燃を認めていない.

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© 2017 日本口腔・咽頭科学会
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