2018 年 31 巻 1 号 p. 51-55
中咽頭癌に対する低侵襲治療としての経口的切除は,その安全性と有効性は確立されつつある.当科では2012年よりTransoral Videolaryngoscopic Surgery (TOVS)を導入した.手術適応はT1-2と一部のT3でN0-2aまでを基本として,術後照射なしに手術で完結可能性の高い症例を対象とした.リンパ節転移のある例には経口的切除と同時に頸部郭清術を行っているが,N0例には予防的郭清術は行わない.FOSSと治療前後の嚥下内視鏡検査を用いて自他覚的な機能評価をした.腫瘍学的な評価と自他覚的な機能評価の結果から,本術式の有効性と安全性は満足の行くものであった.術式の適応の限界について文献的に考察した.