2018 年 31 巻 2 号 p. 183-186
通常Epstein-Barrウイルス(EBV)はBリンパ球に終生潜伏感染し,上皮はウイルス増殖の場であるため,感染細胞は破裂して死に至る.したがって咽頭組織で発癌に至るには潜伏感染に移行することが必須である.上咽頭癌においてはp16遺伝子が欠損もしくは不活化されていることが多く,この感染様式のスィッチのカギを握ることが推察されるようになった.臨床的には,ウイルス関連癌の方が非ウイルス関連癌よりも高転移性である一方,化学療法,放射線療法に高感受性であり,結果として予後がよい.組織学的には著明なリンパ球浸潤を伴い,PD-L1ならびにPD-1の発現が高く,免疫チェックポイント阻害剤の効果も期待される.