抄録
慢性上咽頭炎154例に対して上咽頭擦過療法(EAT)を施行し,自覚症状および内視鏡所見の評価を行った.現在上咽頭擦過療法検討委員会による前向き研究(前向研)が行われており,内視鏡所見では色調,腫脹,粘液付着・後鼻漏,擦過時の出血を3段階で評価する方法となった.以前の検討(2020研)では発赤(色調),腫脹を4段階で評価したため,これを前向研の評価法に当てはめて比較検討した.前向研では色調,腫脹の改善率は54.6%,48.6%であった.合計スコアの改善率は2020研94.2%,前向研93.5%で,出血を除いた合計スコアの改善率はそれぞれ81.8%,75.3%となった.いずれの検討でも発赤・出血・合計スコアの改善と主訴の改善との間に有意な相関を認めた.今回は2020研から症例数を増やして治療効果の再検討も行った.