2023 年 36 巻 2 号 p. 172-177
紡錘細胞癌は扁平上皮癌成分と紡錘形細胞の肉腫様増殖が混在する悪性腫瘍であり,扁平上皮癌の一亜型に分類される.紡錘細胞癌は頭頸部扁平上皮癌の0.4~4%とされており,口腔または喉頭に好発する.今回,我々は頭頸部領域に発生した紡錘細胞癌の6例を経験したので文献的考察を加えて報告する.年齢は59歳から86歳,性別は男性3例,女性3例であった.原発部位は舌が3例,上顎1例,下顎が2例であった.6例全例で手術が施行され,うち2例は早期に局所再発を認め不幸な転帰をとった.口腔に発生した紡錘細胞癌は扁平上皮癌と比べ一般に予後不良とされており,早期の診断と外科的切除が重要である.