2024 年 37 巻 1 号 p. 30-36
当科では下咽頭癌のうちTis~一部のT3病変に対して経口的内視鏡下咽頭腫瘍切除術(endoscopic laryngopharyngeal surgery:ELPS)を施行しているが,2016年~2021年の間に下咽頭癌に対してELPSを施行した症例は38例であった.5年間再発や転移を認めず治癒した症例は3/38例であった.一方で2/38例で頸部後発転移が見られた.治癒した3例と転移を認めた2例の比較では,術前の内視鏡所見では治癒した3例は0-Ⅰs型で,転移を生じた2例は0-Ⅰs+Ⅱc型であった.病理学的所見では5例ともに腫瘍厚1,000μm以上で,脈管侵襲は認めなかった.
下咽頭表在癌は腫瘍厚1,000μm以上または,脈管侵襲がリンパ節転移のリスクとされているが,その他の因子として内視鏡所見が関わる可能性が考えられた.