口腔・咽頭科
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アンケート調査による小児・若年者耳下腺癌症例の検討
熊澤 博文小椋 学湯川 尚哉京本 良一金子 敏彦山下 敏夫
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1998 年 10 巻 2 号 p. 289-296

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抄録

本邦の各施設に19歳以下の小児・若年者耳下腺癌症例の治療経験についてアンケート調査を依頼し治療における問題点を検討した.159施設中40施設で計56例の小児・若年者耳下腺癌症例に対して一次治療が施行された.
Mucoepidermoid ca症例が56例中35例 (62.5%) と最も頻度が高かった.比較的リンパ節転移がない早期癌の症例が多く, 約半数は治療前に悪性腫瘍が示唆された.術後の顔面神経麻痺が生じると考えられる頻度は56例中23例 (41%) であった.しかしながら, 神経移植を行うことで麻痺の改善が術後期待された.再発は, 56例中10例 (15.3%) で2例が不幸な転帰をとった.以上の結果から, 小児・若年者耳下腺癌の予後は比較的良好と考えられ, 耳下腺局所の腫瘍摘出の重要性が示唆された.

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