1998 年 10 巻 3 号 p. 351-357
腎生検にてIgA腎症と診断され, 扁摘を施行したIgA腎症患者98例について扁摘後7日目まで尿所見の変化を早朝尿で観察した.早朝尿が術前と比べ1ランク以上悪化したのは56%で, 大部分は尿潜血の悪化を伴った.術後, 尿潜血・尿蛋白とも悪化している状態にある症例が多かったのは2病日目だった.尿中1ccあたりの赤血球数・尿中マクロファージ数も術後2から4日目に最も増加した.尿中マクロファージ並びに末梢血単球についてフローサイトメトリーにて解析したところCD16陽性細胞の割合の著明な増加を尿所見の増悪時に一致して認めた.誘発テストでもCD16陽性単球の割合の明らかな増加が認められた.