1998 年 10 巻 3 号 p. 373-379
下口唇腺の味覚分泌能について筆者らが開発した小唾液腺機能試験紙を用いて測定した.その結果, 小唾液腺は弱い味覚刺激では殆ど分泌亢進は見られないが, 強い味覚刺激では明かな分泌亢進が認められた.その分泌亢進も刺激後5分では殆ど消失していた.口内乾燥感を有する症例での検討では, 安静時には分泌を行なっていない唾液腺が存在し, それらの幾つかは強い味覚刺激によって分泌を行ないその状態は刺激5分後も持続していた.この事実は, 口内乾燥感患者に対してレモン果汁等による治療の可能性を示唆するものと考えている.