口腔・咽頭科
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口腔癌治療関連死の原因と対策
山田 弘之加藤 昭彦石永 一
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1998 年 10 巻 3 号 p. 411-417

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抄録

山田赤十字病院耳鼻咽喉科において1989年から1996年の8年間に治療を行なった口腔癌新鮮例44例を合併症・治療関連死を中心に検討した.原発巣再発が10例に, 頸部再発が4例に認められ, 1996年12月までに死亡が確認された症例は19例であった.治療関連死は4例に認められ, 2例は術後の急性腎不全であったが, 術前の腎機能は正常であった.1例は術後の急性膵炎で, 既往もなく術前の評価ではその発生を推測し得なかった.1例は放射線治療による口腔・咽頭痛から生じた喀痰排出障害から重篤な肺炎を併発したものであった.治療関連死を防止するためには, 術前の入念な心・肺・腎機能検査と内科医・麻酔科医との相談, 術後の慎重かつ頻回の機能検査が最低限必要である.

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© 日本口腔・咽頭科学会
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