口腔・咽頭科
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咀嚼と中枢神経系
笹本 一茂
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2000 年 12 巻 2 号 p. 175-183

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抄録

咀嚼の意義は嚥下可能な食塊形成にある.消化作用に対する咀嚼の効果は食物により異なる.咀嚼能率は, 咀嚼回数が多くなるほど高くなり, 歯の欠損があると低くなる.咀嚼リズムは脳幹にあるパターンジェネレーター回路により形成されると考えられる.多くの種類の動物で大脳皮質の連続刺激で咀嚼様運動が誘発される.ウサギおよびラットの咀嚼野において, 前方部は第一次顎運動野を含み, この領域の刺激では単純な下顎の開閉運動が, 後方部の刺激では側方運動を伴う咀嚼様運動が誘発される.両領域からの脳幹への投射パターンには違いがあり, これがそれぞれの領域から誘発された咀嚼様運動のパターンの違いに関与すると考えられる.

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