下顎再建には硬性組織と軟部組織を必要することが多い.また放射線照射や抗癌剤動注, 二期再建などで移植床血管が得られないこともある.
我々はこのような例に有茎肋骨付広背筋皮弁を用いている.肋骨は長く採取でき, 適度な湾曲もある.可塑性に富み骨切りが容易で下顎の形態を再現しやすい.筋体が広くとれるので骨弁を筋弁で被覆でき, 頸部の大血管の保護も同時に可能である.血管吻合不要で手術時間短縮となる.我々は最近2年間に10例行い, 9例が放射線照射例であった.合併症として3例に肺炎をみたが, これらは術後の除痛が不充分で体位変換や胸郭運動が充分になされていない傾向にあった.硬膜外チューブ等を利用し積極的に除痛する必要が認められた.