口腔・咽頭科
Online ISSN : 1884-4316
Print ISSN : 0917-5105
ISSN-L : 0917-5105
味覚障害患者に対するビタミンB2内服療法
生井 明浩池田 稔土肥 二三生吉川 琢磨木田 亮紀
著者情報
キーワード: 味覚障害, ビタミンB2, 亜鉛
ジャーナル フリー

2000 年 12 巻 3 号 p. 369-372

詳細
抄録

味覚障害の原因には, 従来より亜鉛が重要と考えられているが, 亜鉛の内服では味覚障害の改善の認められない症例がある.亜鉛と同様生体内の必須微量元素であるビタミンB群に着目し, 味覚障害患者の血中ビタミンB1とB2の測定を行った.対象は, 味覚障害患者のうちの血清亜鉛値正常者43例 (30歳―77歳, 平均59.7歳.男性17名, 女性26名) であった.43例全例血中ビタミンB1値は正常であった.43例中17例 (39.5%) に血中総ビタミンB2値の低下を認めた.低下症例の平均は44.4±3.8ng/ml, 全症例の平均53.8±12.4ng/mlであった (正常値50―84ng/ml).
総ビタミンB2値の低下を認めた17例中10例に活性型ビタミンB2 (FAD) の経口投与を行った.10例中6例 (60%) に味覚の改善を認めた.味覚障害にビタミンB2欠乏も関与している可能性が推察された.

著者関連情報
© 日本口腔・咽頭科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top