2002 年 14 巻 2 号 p. 143-150
IgA腎症は慢性糸球体腎炎のなかで最も頻度の高い疾患で25年の経過で約40%が末期腎不全に陥る.現在, 年間約3万人が末期慢性腎不全で透析導入に至っているがこのうち慢性糸球体腎炎が原疾患の1/3を占め, 最近10年間での減少傾向はなく, 透析導入時期を遅らせるという治療コンセプトによって新規透析導入患者の減少は期待し難い.当院ではIgA腎症の根治/寛解を目的として扁摘+ステロイドパルス併用療法をこれまで多数例に対し実施してきたが, これまでの蓄積された治療成績より早期根治治療の実施により多くのIgA腎症症例が寛解にいたることが明らかになりつつある.本小論ではこれまでの治療成績をもとに根治治療としての扁摘+ステロイドパルスの可能性について述べる.