口腔・咽頭科
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頭頸部扁平上皮癌に対するdCK cDNAの導入によるAra-C感受性の増強効果
小島 博己
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2002 年 14 巻 2 号 p. 225-230

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抄録

Ara-Cは代謝中にdCKなどのキナーゼによりリン酸化され活性化されるが, 一方脱アミノ酵素により不活性化される.多くの固形癌では細胞内のdCKの発現が少ないためにAra-Cの活性化が弱く, このためにAra-Cが固形癌に対して効果を示さないと考えられる.そこでdCK遺伝子を頭頸部癌細胞に遺伝子導入することにより固形癌においてもAra-Cに対する感受性を増強することが可能になると考え, アデノウイルスを用いたdCK遺伝子導入を試みた.その結果, in vitro, in vivo両者においてAra-Cの感受性の著明な増強と抗腫瘍効果が認められ, アデノウイルスを用いたdCK遺伝子の導入とAra-Cとの併用療法が頭頸部扁平上皮癌に対する新しい治療法である可能性が示唆された.

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