口腔・咽頭科
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亜鉛欠乏の新しい機能評価法
アンギオテンシン変換酵素活性比と味覚障害患者への応用
高岡 司武田 憲昭
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2005 年 17 巻 2 号 p. 221-226

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抄録

味覚障害患者のなかには, 血清亜鉛値が正常であるものの潜在的な亜鉛欠乏性味覚障害患者がかなり存在していると考えられている.本研究では, 亜鉛栄養状態の新しい評価法である血清ACE活性比を用いて, 特発性および亜鉛欠乏性味覚障害患者の亜鉛栄養状態を検討した.血清ACE活性比の正常値は2.3%以下である.味覚障害患者の血清亜鉛値は25%で異常であったが, 血清ACE活性比はほぼ全例で異常であった.亜鉛治療の前後で血清亜鉛値に有意差はなく, 血清ACE活性比は有意に改善した.血清亜鉛値と血清ACE活性比の間に相関はなかった.血清ACE活性比は潜在性の亜鉛欠乏味覚障害の診断に有用で, 亜鉛製剤による治療効果を血清亜鉛値より敏感に判定でき, 治療中止時期の決定や投与量の過不足の判断ができると思われた.

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© 日本口腔・咽頭科学会
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