口腔・咽頭科
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特発性味覚性鼻漏に対する後鼻神経切断術の有用性
齊藤 達矢川野 健二アン ヤーイー笠井 美里池田 勝久
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2005 年 17 巻 2 号 p. 265-269

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抄録

特発性味覚性鼻漏の1例を報告した.症例は44歳の女性で幼少時より食事中に水様性鼻漏を認めていた.顎・顔面の手術歴はなかった.砂糖による鼻漏の誘発試験では, 抗コリン作動性の薬剤によって前処置を行った側の鼻漏は他側に比べ減少したが完全に抑制することは出来なかった.特発性味覚性鼻漏と診断し, 後鼻神経切断術を施行した.術後誘発試験を繰り返し実施しているが鼻漏は認められていない.味覚刺激によって誘発される水様性鼻漏は味覚性鼻漏として知られており, 原因として顎顔面や耳下腺の手術, 顔面外傷がある.今回我々はこれらの既往を持たない特発性味覚性鼻漏の1例を経験し後鼻神経切断術で良好な経過を得た.

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