口腔・咽頭科
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上咽頭癌の診断確定までの期間および来院経路の検討
稲吉 康比呂杉本 太郎角田 篤信岸本 誠司
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キーワード: 上咽頭癌, 診断
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2007 年 19 巻 3 号 p. 327-333

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抄録

近年, 癌の診断の遅れが医療訴訟につながる事例が増加している. 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域では上咽頭癌の診断は遅れがちである. 本稿では当科にて加療した上咽頭癌症例について, 初発症状と診断までの期間の関係, 初診医の診断率について検討した.
耳症状, 頸部リンパ節腫脹, 鼻症状, 脳神経症状を初発症状とした患者はそれぞれ平均4.9, 5.6, 0.3, 8.0ヶ月で診断されていた. 全体での初診医診断率は38%であり, 耳症状を初発症状としていた患者ではわずか11%であった.
上咽頭癌の症状は多彩であり, 診断が遅れがちである. 常に上咽頭癌の存在を念頭において注意深く患者の診察を行なわねばならない.

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© 日本口腔・咽頭科学会
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