口腔・咽頭科
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掌蹠膿疱症におけるケラチン特異的抗体活性とその臨床的意義: 治療効果予測の指標の確立を目指して
相良 ゆかり田中 紀充黒野 祐一
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2007 年 19 巻 3 号 p. 341-346

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抄録

掌蹟膿疱症に対する口蓋扁桃摘出術 (以下, 扁摘) の有効性は概ね認知されている. 過去5年間の当科症例においても, 約5割が完治・著効, 約8割の症例で効果を認めた. 扁摘の効果と相関する検査項目を検討したが, 扁桃誘発テストは, 感度が高く有用性は認めるが, 特異度は低く, 扁摘の効果との間に統計学的な有意差は認めなかった.
口蓋扁桃摘出術を施行した掌蹠膿疱症患者7名 (完治・著効例4例, 軽快・不変例3例) において手術前に採取した末梢血から単核球を分離採取して, ケラチン特異的抗体産生細胞数をELISPOT法により測定した. 末梢血ケラチン特異的抗体産生細胞が陽性であった4例は全て完治・著効例で, 陰性であった4例のうち3例が軽快・不変例であった. 感度100%, 特異度67%となり, 有意に末梢血ケラチン特異的抗体産生細胞の陽陰性と予後は相関する結果であった. このことは掌蹠膿疱症の病態に, ケラチンに対する免疫応答が関与を示唆するとともに, 術前に扁摘の効果を予測する指標の一つとなる可能性があると考えられる.

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