口腔・咽頭科
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扁桃摘出術は抗菌薬治療よりも優れているのか?
藤原 啓次
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2008 年 20 巻 2 号 p. 197-201

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抄録

急性扁桃炎に対して抗菌薬治療は非常に有効である. しかし, 扁桃炎の反復性に対する治療としては無力である. 反復性に対しては, 自然緩解を待つか, 根治的には扁桃摘出術が適応となる. そこで, 扁桃摘出術 (扁摘) の適応を5つの疑問点に答える形で整理して考えた.
1) どのような病態に対して扁摘が適応となるのか? (答) 扁桃自体の免疫能の検討から扁桃炎回数が4回以上である. 2) 扁摘により急性咽頭・扁桃炎の罹患回数は減少するのか? (答) 扁摘により減少する. 3) 反復性扁桃炎の自然緩解を予測する方法はあるのか? (答) 扁桃炎インデックス (TI) ≧8の場合は反復性扁桃炎の自然寛解が望めないことが示唆された. 4) 医療経済学的に扁摘は保存的治療より優れているのか? (答) 損益分岐点分析により, 非常に優れた治療法であると考えられる. 5) 扁摘は安全か? (答) 扁摘に関連する死亡率は0.01~0.003%と低く, 安全な手術である.

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