1996 年 8 巻 2 号 p. 159-165
31名の小児 (4~11歳, 平均年齢6.4±1.9) に対し全身麻酔下にアデノイド切除を施行した.鼻症状, 鼻鏡所見, X線所見を術前と術後3ヵ月目に検討した.鼻閉と鼻漏は最も頻度の高い症状でこれらはアデノイド切除により有意に改善した.自覚症状と他覚所見による総合効果判定ではアデノイド切除の有効率は18.8%であった.19名, 38側の小児に上顎洞炎をX線上みとめた.アデノイド切除後26%の上顎洞において著名な上顎洞炎の改善をみた.
アデノイド増殖の程度と上顎洞陰影の程度との関係を52名 (2~11歳, 7.5±3.6) 103側の上顎洞で検討した.その結果両者間に有意の関係はみとめられなかった.
これらの結果よりアデノイド切除は鼻・副鼻腔炎に効果的であり, この効果はアデノイド切除による鼻・副鼻腔の気流動態の変化によるものでないことが示唆された.