日本数学物理学会誌
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パノラマ寫眞器の試作經過報告
乙部 孝吉研野 作一
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1932 年 6 巻 2 号 p. 123-130

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抄録

久しき以前よりレンズの節點の性質を利用せるパノラマ寫眞器の改良を思ひ立ちたるが, 數年前より確信を得たる新考案の主要なる機構に就きて研野氏に告げ, 同氏が工學部在勤中製圖及び試作の監督を依頼して第一囘の試作器を作りたり。 大學構内の寫眞は之を用ひて同君の撮りたるものにして, レンズはイーストマンのコダック用ラピッドレクチリニアなり. 更に同君が遞信省の船舶研究所の技師に轉任せられたる後, 焦點距離の尚小なるレンズを用ひて第二號器を作るに就いて, 製圖及び試作の監督等同君の助力により兎も角實用に供し得べきキャメラを作りたるものなり。
常會にて約12葉の寫眞を披露せり. 何れも一廻轉以上何囘も撮りうることを示したり. その中に太陽の像が陰畫の畫面に二囘直徑約1mm許の透明なる小圓として現はれたるものあり, その周圍の空は却て黒く期せずして反轉を示せり。 尚次篇に於てはレンズより低き水平の直線が上に向て凹となり, レンズより高き水平の直線は下に向て凹となりその曲る程度は近きもの程著しく, 又この曲線はcosine curveとなることを説明せんとす.

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