千葉県北部に位置する手賀沼は,かつて全国でCOD(化学的酸素要求量)ワースト1の汚濁した湖沼であったが,北千葉導水事業により,2000年度から最大8m3/sの浄化導水が導入され,CODは概ね半減し,10mg/L以下となった。一層の水質改善のため,手賀沼の実湖沼において,2014年11月から2015年4月末までの半年間にわたり日内水位変動試験を,2015年3月の1か月間,水位低下試験をそれぞれ実施した結果,試験期間中のCOD,濁度,クロロフィルaは,最近6年で最低水準であった。手賀沼は浄化導水が導入されていることから,水位低下しても確実な水位回復が可能である。手賀沼表層のCOD,クロロフィルa濃度は,日中午後に上昇しているが,日中に水位低下,夜間に水位回復させる日内水位変動により,日中午後の表層流下距離は2倍以上になると推定され,日中に光合成を行う表層の植物プランクトンの排出を促進し,水質改善効果が期待できる。また,非灌漑期管理水位から0. 2m程度の水位低下と,日内水位変動の組み合わせにより,日中午後の表層流下距離は,さらに増加し,表層植物プランクトンの流下,排出効果を増進すると考えられる。