水利科学
Online ISSN : 2432-4671
Print ISSN : 0039-4858
ISSN-L : 0039-4858
森林と放射性物質シリーズ
菌糸を用いた放射性セシウムの森林からの除染
金子 信博
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 62 巻 1 号 p. 119-133

詳細
抄録

福島第一原子力発電所事故により環境が放射性セシウムで汚染された。住居や公共施設,そして農地は除染が進んだが,森林の除染については,汚染された森林面積が広大であることや,除染廃棄物の処理の点から一部を除いてほとんど行われていない。そこで,森林生態系の仕組みを活用し,木質チップを散布して除染を行う方法(マイコエクストラクション)についてその原理をデータに基づいて解説した。森林では放射性セシウムのほとんどが土壌の表層に集積しており,伐採した樹木をチップ化して林床に敷設すると自然に菌類が繁茂し,土壌からチップへ放射性セシウムを移行させる。その後,林床からチップを除去することで森林から放射性セシウムを除去できる。この方法は,植物による吸収(ファイトレメディエーション)よりはるかに効率が良い。菌類がカリウムを多量に必要とすることを利用しており,コストや環境影響の点,ならびに森林施業の継続の点ですぐれている。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本治山治水協会
前の記事 次の記事
feedback
Top