水利科学
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特集:琵琶湖の保全と再生Ⅰ
夏季の琵琶湖に見られる環流とその形成メカニズム
秋友 和典
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2018 年 62 巻 2 号 p. 10-31

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抄録

夏季の琵琶湖表層に見られる環流の実像と形成メカニズムについて,その発見から現在までの研究経過をたどる。1925年8月,神戸海洋気象台によって実施された琵琶湖の総合調査において,三つの環流が北湖全体を覆うように流れていることがはじめて報告された。その後の観測により,環流は5月から11月の成層期(湖面加熱による暖水が冷水の上に存在する期間)に水温躍層(水温が深さとともに急激に低下する層)以浅に現れ,10〜20cm/sの速さで流れていること,地球自転の影響を受けた地衡流で近似できること,また反時計回りと時計回りの2つの環流が卓越していることなどが明らかにされた。環流の形成メカニズムとして,これまでに風を原因とする説(風成論)と熱を原因とする説(熱成論)が提案されているが,その検証は難しく長年にわたり議論が続いてきた。近年,観測データに基づく湖上風や湖面熱フラックスを駆動力とした数値モデル実験が行われ,風による環流の駆動が優勢であることが示された。

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© 2018 一般社団法人 日本治山治水協会
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