愛知県春日井市に位置する利水施設「神屋地下堰堤」から供給される農業用水の流量,水温,水質を観測した。本施設は1934年(昭和9年)に竣工し,現在も利用されている。庄内川支川・内津川の伏流水を堰上げし,水田に供給する機能を持つ。附近の溜池築堤で使われた粘土を用い遮水する刄金工が,地下堰堤構築にも応用されたものと考えられる。灌漑期には,伏流水の集水路は内津川表流水面よりも0.9m高い水位に維持され,流出水量は123m3/hrに達する。非灌漑期も流出は絶えない。伏流により,水温の日較差は縮小し,pH,電気伝導度,硬度,溶存酸素濃度,及び化学的酸素要求量も,水源となる内津川表流水と比べ低い値であった。