水利科学
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特集:平成29年7月九州北部豪雨と流木災害
平成29年7月九州北部豪雨における林地被害状況
黒川 潮
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2019 年 62 巻 6 号 p. 1-9

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抄録

平成29年(2017年)7月九州北部豪雨では,24時間雨量で500mmを超える記録的な大雨により福岡県朝倉市,東峰村,大分県日田市を中心に山地斜面の崩壊が多発し,それに伴って大量の流木が発生した。この豪雨による死者は40名,行方不明者2名となっている(平成30年1月17日現在)。林業関係の被害額は福岡県約318億円,大分県約33億円となっている(平成29年10月2日現在)。災害発生直後に上空から調査を行った結果,数百箇所に上る山腹崩壊及び流木が確認できた。今回の豪雨による林地被害は,特定の箇所に集中した雨水が要因となり,森林の有する土砂崩壊防止機能や土砂流出防止機能の限界を超え,山腹崩壊等が発生したものと考えられ,雨水及び地形・地質による要因が大きいものと推察される。流木は上流域の山腹崩壊に伴い巻き込まれた立木が流下したものと考えられる。

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